Range Rover Classic その2 | クルマ屋 奮闘記

Range Rover Classic その2

輸入車のブレーキパイプ製作について


 上の画像は、1993-09製 レンジローバー LH40D から取り外した後輪用並列ブレーキパイプ
 差し渡し3m、曲がりくねった2本の総延長距離は8mといったところでしょうか。 結構長いです。
  そうです。 前回記事と同一車両。 関東への転勤後、約2年半で再び神戸に戻ってこられ、ボロボロに腐食した
  テールゲートの対処を皮切りに、半年あけず次々難事が起こってしまい、毎回頼ってきて下さったのでした。

この事件の実際の日付は、2009年も押し迫った年の瀬。
突然ブレーキオイルが大量に漏れ出し走行不能に陥ったため、仕方なく神戸のディーラーに入庫されたのですが、ローバー純正の供給パーツは製造廃止で、約1ヶ月半も作業は頓挫。。

右図は、その不具合部分を拡大したもの。
ちょうどフロントタイヤの泥ハネを浴びるあたりになります。
但し、この時点ではまだ一度も弊社で点検整備を承ったことがなく、それまでの業者は下回り錆止めについて全く配慮しなかったのでしょうか、シャシブラックの痕跡皆無。  また、RV車本来の使われ方=海山へ度々行かれることも手伝って、ブレーキパイプのみならずフロア全面に甚大な塩害腐食が。

 「輸入車ブレーキパイプ製作」でぐぐると、約21万件もヒットします。
 特殊技能が要るわけでもないのですが、では簡単かというとさにあらず。 油圧ブレーキ系統は、
 単に脱着して僅かに当りが変わっただけでブレーキオイルの滲みが中々止まってくれなかったりと、
 ただでさえ神経すり減らす箇所。 整備後、万一のことがあれば人命に係わる のです。
 ましてやそちこち強烈に錆々となると、ディーラーに限らずどこの自動車屋も腰が引けて当然。。
  正直なところ、「廃車・代替」ということも検討されたと思います。 電話やメールで何度も色々ご相談を受けました。
  不動車を神戸から京都まで陸送する費用のことを考えると、地元で引受手が見つかるのが最善だったのですが、
  作業進展せぬまま年が明け、1月も過ぎ、これは私がお助けするほかなしと勇気奮ってお引き受けしたのでした。



 そして丸2年余りが経過。
 結論先に述べると、ブレーキ系統のレストア見事に大成功でした!
 少なくともこれぐらいのスパンで見なければ、真の成功とは呼べないのではないでしょうか。^^

 しかしだからこそ、そういう次元で一旦お引き受けして責任持つ以上は、中途半端なことは出来ません。
 錆の侵食が根本原因のケースにおいては、液漏れ区間のみの部分対応というのはNGで。
 すなわち、怪しい油圧系統は全て一掃しておく必要かあるのです。
 また、上の画像を注視して頂くと、数多くの樹脂製クランプが等間隔に配されているのが分りますでしょうか。
 これも非常に重要な役割がありまして。
 パイプ同士/パイプとボディーの固定が不十分で振動・干渉すると、擦過により金属製といえども穴があくのです。
 ところが十数年以上の時を経た樹脂製品は、驚くほどひどく脆弱化しており、触る前から既に折れていたり、
 脱着の際にドライヤーで暖めながら慎重に作業しても、それでも折れてしまったり。
 あるいは、交換したい気持ちがあっても、このようなマイナーパーツはメーカー純正品の国内在庫が無かったり。
 はたまた、固定ピン用のボディー側丸穴が、腐食によって広がりすぎていたりと、あれやこれやで非常に厄介。
 ですが手抜き厳禁! 国産車用の流用出来る品を模索するなどして、しかるべく処置しておかねばなりません。
 徹頭徹尾完璧を期さなければ!!


 ・・・・・ という職人気質で臨む時、放置するとどんどん増殖する錆ルンルンを見過ごすのはかなり苦痛ですね。

 この記事の例ではオーナー様ご同意のもと、「下地処理 ~ 薬剤処理 ~ アンダーコート仕上げ」 をも行っています。
 強烈な錆浮きに対しては色々試した結果、どつき専用ドライバーとハンマー + ワイヤブラシという地味仕事が
 結局最善であったり、薬剤で化学処理するのも一度塗りでは到底ダメで、時間置いては二度三度重ねる必要あったり、
 速やかにアンダーコート塗って仕上げてしまうと走行テスト後、ブレーキオイル滲みの有無がチェックしにくくなるので、
 順序だてを配慮したり、筆舌尽しがたい辛苦を舐めていますが、ここでは割愛。
 皆さんも、錆にはご用心あれ。 ナーバスになりすぎてもいけませんが。^^;

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