加重厳禁 | クルマ屋 奮闘記

加重厳禁

 

 上の画像は、昭和62年製 いすゞ アスカ JJ120 のエンジンルーム左奥。

 各都道府県に1台くらい、日本全国だとおよそ50台程度?がまだ元気に走ってるとの話です。
 117クーペではなく、まっことレアなアスカで頑張る!
 骨太なオーナー様でなければ出来ない業でありましょう。。

 実は、今を去る約6年前。 平成19年6月にこのブログをご覧下さりご来店。
 全く効かなくなっていたクーラー修理を承ったのがご縁の始まりでした。
 旧フロンR12のクーラーシステム、主要構成パーツ全滅判定・・・・・
 幸い新旧どちらのフロンにも使えるというコンプレッサーが見つかったので、えいやとばかりにレトロフィット。
 但し室内ユニット側エバポレーターは製造廃止のためワンオフせねばならず、あれやこれやと超大変で、
 詳細書き出すと、それだけで連載ものの記事になってしまいそう。(笑)

 ここでは写真左上に見える、「加重厳禁」のコーションラベル についてだけ軽く触れておきましょう。
 後にも先にもこんなことをしたのはこの一例限りです。

 このクルマのクーラー低圧配管は、「手摺代わりにどーぞー握って下さいな~」と誘ってるんです。
 エンジンルーム内に上体かがめてで何かの整備をする際、ちょうど良い案配で横に渡っていて、正に魅惑の手摺?!爆
 しかし絶対に誘惑に負けて握ってしまってはいけないのですよ。。
 というのもこの配管の先は、室内ユニット=アルミ製クーラーエバポレーターにダイレクトに繋がっていて、
 配管に荷重加えると全ては脆弱なエバポの負荷となります。多分一回体重かけただけで歪んでガス漏れ起こすかも。
 普通はそうならないよう、荷重・振動防止用のステー類で保護されてしかるべきなんですが、このクルマにはそれが無し。
 こりゃいかんなと認識しつつも、配管レイアウトの関係で、保護ステーを追加しようがないようでした。
 メーカーさんもこの問題に呻吟しつつ、結局おざなりスルーしちゃったんでしょう。。ww

 とはいうものの、他の整備工場やガソリンスタンド等でボンネット開くシーンもあるでしょう。
 苦心惨憺して折角修理したクーラーが、誰か一人のたった一押しでふいにされるのも業腹!
 私の不安が的中してしまわぬよう、注意喚起すべく表示したという次第です。
 発想・方向性は悪くなかったと思うんですが、元々無かったものを造りだすというのは産みの苦しみがありますね。
 先ず文言。 「ここに体重をかけないで下さい」とかいう文章表現よりも、私は箇条書きのほうが好みのようです。
 つまり、「何々禁止・厳禁」となるのでしょうが、荷重禁止?加重禁止? 日本語って本当に難しい!w
 次に作製方法と素材の選択。 赤マジックでさらさらっと何かに手書きするのはいかがですか?(爆)
 旧車に限らず大事にされておられるクルマにそれでは、ちょっとどうかと思ってしまいます。
 生憎私は人を唸らせるほどの達筆ではありませんので、適当な大きさの文字を模索しつつ幾つか印刷。
 しかる後にラミネーターで保護し、穴を6個あけてタイラップで留めました。 所用時間は内緒ですwww



 こういう小技は、それをしたからといってその分の御請求は出来ないですね。
 趣味ではなく商売として請け負う場合、非常に難しいものがあると思います。
 実際この私も最初は口頭で注意するだけにとどめたのですが、次に別件エンジン不調で入庫してきた時に
 お願いした通りの警告表示が為されてなかったので、やむにやまれず・・・

 しかし6年経って振り返ると、ここまでやってあげて本当に良かったと思います。
 コーションラベルが功を奏したか、丸々5年余り、クーラーはよく効いていたようですし。
 そしてその間の整備履歴を数えると、細々した小修理やトラブル対応・車検・点検が21回?!
 途中トランスアクスルが壊れたときには廃車かもというピンチもあったんですが。
 それやこれやを無事乗り越えるべく、共に歩んだ形でしょうか。
 今は亡き愛犬クーが元気だった頃は、ご来店の度によしよしと頭撫でたりして下さる大切なお得意さまの一人に。^^

ô