ショックアブソーバー 逝く | クルマ屋 奮闘記

ショックアブソーバー 逝く



上の画像は、DC/ACインバーター ( 直流12Vを交流100Vに変換する装置 )
一部のRV車等には最初から付いてますが、クルマで家電を使うには、このような後付け部品が必要になります。
目的が、携帯電話やモバイルPCの充電器一つだけで良いのなら、小型のソケットタイプで十分ですが、
合計数百ワット以上の需要なら、どうしても大きい箱型になってしまうので、転がしておくにも結構邪魔です。

実は今から数年前、ブログご覧下さった方がご連絡下さり、クーラー修理を承った際のこと。
H08.09 ボンゴフレンディー SGL5 、当時既に車歴十数年。
4WD・ワンボックスカー・ツインエアコン・・・・・ 三拍子揃い踏みのツワモノ!^^;

私の診立ては 「クーラー室内ユニットガス漏れ」 で、見事部分修理対応で大成功だったのですが。
後席用のエバポレーター交換のために右側壁の内張り脱着すると、上図の空洞部分に、
このインバーターがありました。 使い勝手良いように、内張り表面には住宅壁用電源コンセント ♪
とってもナイス(死語?w)なアイデアだなぁと思いました。

しかし如何せんユーザー施工。 単に落とし込んであるだけで無固定でしたし、
配線一式無造作に突っ込んで隠しただけのように私の目には映りました。
何かあってもヒューズが飛ぶだけだから大丈夫? いえいえ、そういうものではなく・・・
自動車というのは常に振動加わる環境です。
「振動に起因した被覆の擦過傷 → 配線ショート」という事例を嫌というほど見てきています。

こういう場合、見て見ぬ振りして元に戻すような真似は私には出来ないですね~。
かといって、「有償になりますが整理整頓しても宜しいですか?」と問うと、半数前後の方々は却下されるかも?
武家商売は決して儲からないとはこのことでしょうね。
あれこれ思う前に勝手に手が動いて見目良く適切に対処敢行!
インバーター本体は、ボディーパネル裏側の平たい所に両面テープで固定しました。
各種配線は、最も自然でシンプルな通し回しに変更し、要所要所を必要十分な数のクランプで結束。
これ、外からは全く見えない仕事です。 独断につき無料。。
無料とはいえ折角なので、この画像をユーザーにご報告して、作業完成度の高さを訴求しておきました。(笑)

純正仕様もどきに綺麗に収まっていると感じて頂けると幸いです。
いかがでしょう? ^^v



修理したクーラーは、数シーズン経ても寒いほど効いてくれてるのと相俟って、このお客様は
リピーターになって下さいました。 その後の車検整備や、走行10万キロ整備のご用命も ♪

しかし良いことばかりは続きませんね。
そもそも後付けパーツというのは、落とし穴満載?!ww

タイミングベルト交換など走行10万キロ整備の際に、前席中央部のフロアパネルを外すのですが。
パネル周囲を固定しているボルトを、手際よく順番にサクサク外していってる時のこと、
1本の共締めアースがはらりと落ちて、フロアカーペットの隙間に隠れたのを見逃したのでした。。

ハイ。 これは紛れもない私のチョンボ!
その共締めされていたアース線というのは、前述 DC/ACインバーター12Vマイナス端子で・・・
完成チェックで、自分が触った部分のスイッチ作用とかは大抵きちんと確認するのですが、
離れた場所に内蔵された100Vコンセントが休止しているのまでは、まさかまさかの想定外。
非常に残念なことながら、ミスを工場内で防げずに、そのまま出庫ということに。

実に不可思議なことなのですが、このような出来事は、往々にして更なる不幸を呼び寄せます。





ジャッキアップポイントや、オートリフト、安全スタンドの取付位置というのがあります。
車両重量に耐えられ、しかも作業安全性確保できる場所の選択肢は、そう多くはありません。
モノコックボディー採用車種の場合、イラスト左のような位置になるのが一般的です。

一度位置決めしてリフトに載せてしまえば、あとは上げるも下げるも自由自在。
たまには寝板で狭い隙間にもぐって作業終わらせるケースもありますが、
そちこちでリフト動くのが整備工場の日常的な風景でしょう。

上のイラスト右側は、ストラット方式のフロントサスペンションです。
路面の凹凸にしなやかに追従する足回りがなければ、馬車のようにゴトゴト揺れます。
タイヤ履いて静かに接地している際には、車重と釣り合ったたわみ量に、
クルマがリフトに載って持ち上がった際には、最も伸び切った位置になります。


実は問題のボンゴフレンディー君、
息子さんがプレステーションで遊べないからとの苦情で、ほとんど日を置かず再入庫。
僅か10分程度で閃いて、付け忘れのアース線を発見し、無事コンセントは復活したのですが・・・
「僅かな段差で胃が捩れるくらいの突き上げを食らうんだ。」
「以前は絶対こうじゃなかった。 なんとか元に戻して下さい。」 という切実なるお申し出が!
すぐさま試運転に同乗してみると、どうやら左前ショック1本だけがご臨終。。 なじぇ?(@_@ )

考えられる理由は一つ。
ショックが普段と異なるストロークを動いたことで、急激に逝ってしまった?!
多分、首の皮一枚で辛うじて踏ん張っていたんだと思います。 右前ショックもピンチ?

整備完了後は、工場周囲の数ブロック程度、必ず試運転をしています。
足回りがフワフワ過ぎたりすると、「足回りが弱ってきていますね」 などと申し送りをするのが普通です。
6点12点、車検整備、通算すると、どれほどの台数、私はリフトで上げ下げしたでしょうか。
1万台には届かなくとも軽く数千台は携わってきたと思います。
しかし整備直後ショックアブソーバのへたりが表面化してクレーム受けたのは、後にも先にもお初の出来事。
そう考えると無茶苦茶低い確率ではあるわけですが。 実際あるんですねぇ、こんな事が。。



整備に出したら壊れとる!! 一体何した!どこみとんねん!
こんなことなら点検に出さないほうがずっとまし。
お客様からすると、こう思われて当たり前ですよね。 整備工場にとって一番辛いシーンです。

 ・ 他の部位のヒューマンエラーと重なった
 ・ 折角築いた信頼関係を壊したくなかった
 ・ 中古品ショックアブソーバが入手可能で、そのような対処でご辛抱願えた
 ・ 正規の位置にリフトをかけ、またショックが逝くようなことがあっても次以降は免責にして下さる

懇談し、色んな理由や条件が出揃って、このケースに限ってはALL無償で対処させて頂きました。

自動車に限った話ではありませんが、古くなればなるほど色んな事が起こります。
普通にドア開けようとしたら取っ手が折れた! とか、漫画のようなことが実際起こったりします。
お気持ちよく分かりますが、触れた者に何の非もない災難については、どうかご寛容のほどに。><

♪