A/Cホース | クルマ屋 奮闘記

A/Cホース


上の画像は、クーラー低圧ホース。 室内ユニットからコンプレッサーに戻ってくる部分になります。
金属製カシメの脇に、粒状の小さな隆起が二つ
これは、耐圧ホース内部の補強糸に沿って、リークしていることを意味します。
クーラーが正常な場合、低圧系統には冷たい冷媒が流れているので、熱でやられることはまずありません。
また、遮熱/断熱のための重厚な被覆が施されていると、わざわざ折角の被覆を切除してまでチェックしません。
色んな理由が相俟って、低圧側ホースのNG画像は、稀有な例だと言えるでしょう。 ( 無断転載 禁止w )



以下余談

このソアラ君のクーラーガスは R12
平成5年辺りからトヨタ車の冷媒は、順次 R134a へと切り替わったので、終局の旧フロン車両。
しかし物は考えようで、R12のシステムは、多少大雑把な整備をされても結構冷えるという強みが!
冷媒充填量が若干不足か過充填気味でも許容しますし、また潤滑の問題もそれほどシビアではありません。
概して素晴らしく冷え、非常に扱い易いシステムと言えるでしょう。
但しオゾン層を破壊するので新規製造禁止。 弊社のR12ガス缶在庫は残り49本です。 ( 2014.06 現在 )

車両データは、H04.12 トヨタ ソアラ UZZ32 、原動機 : V8 1UZ-FE 、 冷却方式 : 油圧駆動ファン
平成元年、トヨタ自動車はエンジン油圧駆動ファンを1UZ-FEエンジンに採用 ( 世界初 )
高級車に相応しい静粛性を追い求めての新装備でしたが、正にバブル期の産物? 修理コストが非常に高額!
静かに回さねばならないという宿命を背負い、損耗してない新品システムですら冷却能力はぎりぎり合格ライン。
このため、エンジンルーム内はかなり高温に。。 バブル崩壊後、油圧駆動ファン方式は廃れてしまいました。


ガス漏れ主犯は コンプレッサー という診立て。
ならば唯一コンプレッサーだけ交換すれば?
残念ながら経験上、それで済むのは稀ですね。

右の画像は、この事例での主な整備項目。
(この他に、低圧高圧2本のホースも交換しています)
大抵のケースでは、ガス漏れ ⇒ 冷凍サイクル崩壊 ⇒ コンプレッサーの過熱 ⇒ 劣化 ⇒ 更なる過熱 ⇒ 更なる劣化 ・・・ という、負のスパイラルに陥ります。
また、ガス漏れすると同時にコンプレッサーオイルもリークします。これにより潤滑不良を起こすので、コンプレッサーの劣化がますます進むという悪循環に。。



今現在、コンプレッサーがガス漏れしていても、それが必ずしも根本原因とは限りません。
潜在する他のガス漏れ箇所を見逃してしまうと、再びガス漏れに起因する負のスパイラルに陥り
折角替えた良品コンプレッサーが、そう遠からずまた劣化してしまうという哀しい事に。
丸々一晩かけるくらいの入念な真空保持テストをしてもらうことを強く推奨!
コンプレッサーオイルの中には、意外なほど多くの気体が溶け込んでいます。
イメージ的には炭酸飲料のジュワーっとなるあれなんですが、クーラーガスの場合は極々緩やかなもので、
内圧の変化が生じてから、30分とか1時間やそこらでは、溶解度はまだ落ち着かないので厄介なのです。
また他方、真空保持のゲージ指針が短時間不動であっても、月単位での微細な漏れが無い保証にはなりません。
反復真空引きと真空保持テストはセットもの。
自宅兼工場だからこその技ですが、前日の終業時間から翌朝の始業時間までの約15時間を活用するのが理想です。


上の画像は哀しい定番。
お客様への状況報告用として、クーラー配管内壁を綿棒で軽く拭ったものと、
配管内部の清掃過程において中から出てきたアルミ片!



記事更新遅延中・・・
コメントも多数お寄せくださりありがとうございます。
今しばらくご猶予を。 ><





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