クルマ屋 奮闘記 -2ページ目

トヨタ製バキュームホース



上の画像は、トヨタ純正バキュームホース
新車からの品には識別用に、#0、#1、#2 ・・・・・ と表示されてますが、補給品には、片面に番号記入欄、
もう片面には、「交換したホースの番号を書いて下さい」という英語表記になってます。 合理化というやつですね。

このバキュームホースには常々感動しています。
トヨタに納入している会社がどこであるのか存じませんが、称賛を送りたいです!
車歴20年の廃車から外した品でも、弾力性まだまだ失われておらず、
挿しこみ部のひび割れとかもありません。 30年経った品でも余裕で再利用可能
エキマニ等の高温部に近すぎ、熱の影響を多く受けた場合のみ交換要するくらいです。

各メーカー品や汎用品、数多くのバキュームホースが流通していますが、
同価格帯でこれを上回る高品質のものがあるのなら、是非とも情報お知らせ下さい。
カラーリングされたシリコンホースとかは最初だけ綺麗かもしれません。
しかし、肝心の耐久性という面、トヨタの製品と比べると、経年劣化が甚だしいように感じます。

トヨタ以外のメーカー車種であっても、太さが流用可能範囲であれば、以上のような理由にて、
交換の必要が生じた際には、私は積極的にトヨタ製のバキュームホースを使っています。
流用するにあたって必要な情報は下記の通り。

外径 7.5mm 、内径 3.98mm ( 挿入部外径 適応サイズ 4.0 ~ 7.0mm )
補給品番 長さ 税抜価格 10円当たりの長さ
90999-92002  300mm   420円   7.14 
90999-92003  600mm   480円   12.50 
90999-92004  950mm   820円   11.58 
90999-92006 実測 1350mm  1170円→1860円   7.25 
90999-92007  1650mm   2280円   7.23 
90999-92008  2600mm   3000円   8.66 

 試みに、ノギスで測って直径4.0mmJUSTの金属製ピンを挿してみましたが、そこそこの節度感あり。
 最大側は、自然な状態での外径とそれほど変わらない直径7.0mm あたりがギリギリでしょうか。
 素晴らしい伸縮性、柔軟性、耐侯性です。
 よって適応可能サイズは 4.0~7.0mm 、最適サイズは 4.1~5.5mm としておきます。
 注目すべきは、「10円当たりの長さ」。 こんな理不尽な価格設定にした人の顔が見てみたいです!(笑)
 長さと価格の兼ね合いで、トヨタ共販で最も取扱量の多いのは、90999-92006 だと想像します。^^
 2016.08 追記: 90999-92006 のみ大きく価格改定され、コストパフォーマンス低下したので要注意。



実は先々月の話。
満身創痍のかなり古い日産ローレル(昭和57年製 UJC31)が入庫してきました。
ブレーキ油圧系統で液漏れしており、その部分の純正パーツが既に製造廃止だったため、
地元のとある日産ディーラーでは車検を通せませんと死亡宣告受けられたそうな。
ご縁あってご相談にあずかり、その後、遥々愛知県からお越し下さったのでした。

繁忙期の3月だったこともあり、手隙の合間に約三週間かけてやっと治癒したのですが、
車歴32年もの日産車。 しかもキャブレター仕様のエンジンともなれば、バキューム系統、
以前に何度か人の手が入って整備された痕跡はありましたが、やはり只で済むはずもなく。。
合計4本、総延長72cmのバキュームホース要交換。
このケースでも、私は勿論トヨタ製を使いました。 部品代¥820+消費税也♪

♪

ヒートカットパウダー



上の画像はエンジンの排気系統、エキゾーストマニホールドエキゾーストフロントパイプ

元々は φ6mm のボルト3本によって固定された遮熱板で、おおまかに覆われていたそうですが、
長い年月経るうちに、高熱をもろに浴びる影響で腐食が進み、薄い素材のそれは複数箇所裂損。
金属質のビビリ音が気になるので、割れた遮熱板は取っ払ってしまったとのこと。
こういう行為はNGです・・・・・

 自動車メーカーは日々コストダウンに余念がなく、内装以外にはほぼ無駄な部品がありません。
 簡素に見える薄っぺらな遮熱板でも、それがそこに無いと、輻射熱で近傍のパーツ類に悪影響が。
 しかし、えいやっと外すのは、せいぜい数分仕事。 しかも自分でやればコストゼロ!
 それでいて場合によっては、数ヶ月~数年、表面上何も問題なく乗れてしまったり。。
 少し古いエンジンだと、エキマニ遮熱板の細いボルトは緩んでくれず、高確率で折れたりしますし。
 事故修理以外の理由で、メーカー純正品の遮熱板をオーダーする人は非常に少ないんじゃないでしょうか?
 そのせいか、割と早い段階で製造廃止喰らいやすいように思います。><

実は冒頭画像は、昭和55年製 いすず 117クーペ PA96 、
車歴30年超のエキマニ等オリジナルパーツは、全体が錆で赤茶けて風合い醸し出してました。
縦置き直列4気筒エンジンで、排気左出しというレイアウト。
ヒーターホースやウォーターバイパスホース、クーラー低圧ホースなどがエキマニ近傍を通り、
遮熱板なしだと芳しくない状況ながらも、あれよあれよと数年経っていたのですが。

古いクルマは、エキマニ~フロントパイプ間のスタッドボルトの強度が弱く、割とよく折れました。
この117クーペも例に漏れず、車検整備の際に1本折れているのを発見。
折れ込みスタッドボルト交換修理のために、エキマニ要脱着ということになったので、
じゃぁ遮熱対策、脱着ついでにどないですか? ということになったのでありました。

 この折れ込みスタッドボルトの対処は、それだけで十分一つの記事になるような難事。
 残骸を観察すると、いかにも低グレードっぽい金属素材なので、折れやすいのも納得。
 このようなケースに限っては、元と同じ純正品を使うのは余りにも芸がないと思います。
 代替品として、トヨタ供給の焼きが入って高品位なスタッドボルトに全数交換しました。



遮熱対策を考えるにあたっては、エキマニ表面温度の考察から着手すべきでしょう。
ところがこれ、中々どうして一筋縄ではいきません。 個々のエンジンで随分違うっぽいからです。
ある資料によると、燃焼室直後の排ガス温度は、約900℃前後と書かれていましたが、
NA(自然吸気)と過給器付きでは、後者のほうが随分高くなるようですね。

BILLION スーパーサーモバンテージ70 :
タコ足状ステンエキマニに包帯のように巻き付ける素材。
耐熱温度950℃、ノーマルからライトチューンNAに最適と表記されています。

赤熱したステンエキマニは割りと目にする光景です。
素材の肉厚と熱伝導率などが複雑に絡まった問題なのですが、赤熱してしまうようなNAエンジンのステンエキマニ表面の耐熱要求温度は 700~850℃ と推測。

一般的に流通しているマフラー用耐熱塗料は、上限600℃程度の表示ですので、
3500rpm、暖機数分間ごときで赤熱しかかるエキマニに対しては、明らかに耐熱性能が足りません。
なので昔は、遮熱板を取り付ける か、バンテージ巻き かの二択だったのですが、
興味深い新素材が容易に入手出来るようになり、第三の選択肢=遮熱塗装 もお勧め。^^



無孔質真空球体微粒子セラミック
NASAスペースシャトル、大気圏再突入に複数回耐えるべく開発された耐熱タイルの根幹技術。
中身真空の丸く細かいセラミック粒子群は、原理的に遮熱・断熱性能に非常に優れています。

民生転用技術としては、真空ビーズ粒子径 0.0005mm ほぼ均一で非常に高品質なものから、
中身が真空ではない多孔質セラミック(単なる中空バルーン)の廉価品まで多種多様。
今回選んだ品は、ヒートカットパウダー
粒子径 0.03~0.15mm と多少ばらつきあるものの中身真空であることをしっかり謳い、
塗料混合前の粉として容易に入手可能。 耐熱性能は混ぜ合わせる塗料に依存するとの事。

 余談ながら耐熱塗料の話。
 耐熱塗料・特殊塗料のトップシェアを誇るオキツモ株式会社さんのFAQコーナーを読むと・・・
 「耐熱1000℃の塗料はございません。しかしながら、塗装される素材が金属であれば、素材自体1000℃の
 耐熱性がないと思われます。素材と実際にかかっている温度の確認をお願いします。」 となっています。
 しかしながら、当のオキツモさんの製品に、耐熱1000℃のペイントマーカーや、
 耐熱3000℃のロケット発射台塗料があったりして実に興味深い話です。^^;
 ステンの融点は1400~1500℃、鋳鉄ならば1150~1250℃といったところでしょうか。
 「耐えられる」と称するための判断基準、どんな定義かによって、きっと大きく異なってくるんだと思います。
 ということは? 一見同じ耐熱温度の塗料でも、販社によって随分と実質性能に差があったりするのかも。。

膜厚が大きいほど遮熱性は有利になるので、スプレーするよりも筆塗りがお勧め。
何事も過ぎたるは及ばざるが如し。 パウダー混合比を最大超さない程度になるべく高め、
塗っては乾かしまた塗って・・・ 最低でも3度塗り、余裕があるなら更に重ね塗りを。
このため単日では完了しませんが、仕上がると白っぽい陶器に包まれたような感じになります。

後日談ですが、大阪から京都までの走行直後、ボンネット開いて拝見する機会を得ました。
非接触温度計を、この時ばかりは欲しいと思いましたね。(笑)
だから完全暖機後のエキマニ表面温度、正確な数字を書けないのが残念ですが、
指先ちょんではなく、手の平全体で余裕で触ることが出来た・・・・・
と表現すれば伝わりますでしょうか。 素晴らしい遮熱効果だと思います。^^

 高い遮熱性 = エキマニに熱がこもる場合の長所短所:
 ・ 薄いステンパイプは若干割れやすくなる
 ・ エンジンルーム内温度の上昇を防ぐ
 ・ 排気の流速が上がる → 排気効率が良くなる
 バンテージを巻くことが難しい鋳鉄製エキマニには、まだ新車のうちから遮熱塗装してみられては?!

ô

0W-16



トヨタ製ハイブリッド、アクアの無料点検が、先日2台相前後して入庫してきました。
 DAA-NHP10 H25.9 : 6ヶ月無料点検
 DAA-NHP10 H26.2 : 1ヶ月無料点検

どちらも同一型式なので、当然、同じエンジンが載っています。
違うのはボディーカラーくらいのものだと確信しつつボンネット開けると、アレレ?オヤァ~?

2013年アクアの場合、ボンネット裏に貼られた推奨エンジンオイル粘度が 0W-20 なのに対し、
2014年のそれは、0W-16 という異なるシールに変更されていました。
興味を惹かれて、助手席グローブボックスに積んであったオーナーズマニュアルをめくると・・・

   

気温条件無記載のケースでは、オールシーズン、表記どのオイル粘度を使っても可。
但し最も燃費が良くなるのは、冒頭記載の一番柔らかいオイルで、それが推奨品になります。
ボンネット裏に表示するくらいなら、太字か赤字にして強調すべきだと思うのですが。^^;

あと、この例はかなり特別で、少し注意して眺めると・・・
0W-16 の行だけ、SN/GF-5 と書かれていないことに気が付かれるはず。
この理由は、急遽造られてまだ間がなく API や ILSAC での承認待ちなんだろうと想像。



新しい粘度の出現で、また在庫を増やす必要が出てくるのは頭が痛いなと思いつつ、
懇意のトヨタディーラーにあれこれ尋ねてみました。
どうやらこの背景は、フィットHVから燃費1位の座を奪還することにあったようで、
H25.12、JC08モード燃費 35.4 → 37.0km/L に向上させるための改良の一環として
より低粘度のエンジンオイルが採用されたのでしょう。

しかし、従来型のアクアに 0W-16 を使って、少しでも燃費改善と考えるのは人情ですが、
残念ながらそれは不可のようです。 禁じる旨のメーカー通達が回っているそうな。

 とはいうものの、こういう表面上の数字に踊らされることはないと思います。
 諸元表下段の細かい文字を読み解くと、車重が僅か10kg増えただけで、37.0 → 33.8km/L へと激減。
 フィットの場合はどうなんだろうと調べると、カタログ上約50kgの変動で、36.4 → 33.6km/L へとやはり大きく減少。
 他の一般的なガソリンエンジン車の場合、この手の変動はせいぜいコンマ何キロ?!
 HV車は、その性格上、車重の影響を大きく受けてしまうようです。
 或いはカタログ数値を少しでも良くするために、ピーキー過ぎるチューンが為されているのでしょうか?
 燃費改善を望むなら、先ず第一に無駄な荷物は積まぬこと。(笑)

 また、メーカー曰く、超低粘度の 0W-16 の使用に耐えれるよう改良を施したとのことですが、
 そもそも全メーカー共通の、推奨オイル選定に於ける指標のようなものは存在しない?
 もしこれが個々のメーカーの良心のみに委ねられているとすれば・・・
 どうしても、必然的な流れとして、柔らかすぎる粘度にシフトしてしまうと思うんですね。
 新型車発表後も暫くは、細かいパーツの改定が水面下でひっそり続けられています。
 マイチェン直後の初期車両の場合、最初のオイル交換では 0W-16/0W-20 どちらを使いましょうかね?
 シャバシャバの省燃費オイルを使うエンジンの場合、5万キロ~10万キロ~15万キロと走行増えていく間、
 いつまでもずっと新車と同じ粘度のオイルをというわけにはいかないでしょう。
 どのタイミングでどの程度シフトしてゆくかは、個々のオイルメンテナンスの良し悪しで随分違ってきます。
 かといって、過剰なオイル交換も、非経済・非エコロジー。 ^^;

ô

IEとクロームの表示の差異で苦戦中><

2014年初頭、IE以外のプラウザも試してみなければと思い立ち、クローム導入。
するとなんたること! 妙に軽くてサクサク快適! もっと早く試すんだったなとちょっと後悔(笑)

ところが、アメブロの旧ブログエディターをクローム上では選択出来ない仕様にされていて、
暫くの間は、編集作業はIEで。 表示の確認は、IEとクロームで、てなことをやっていました。
しかしそういう不便は苦痛の元?! 
ある日とうとうクローム上で、新エディターなるものを試してしまうと・・・ オーマイガッ!w
根幹部分のバージョンが切り替わったかのような感じで、それまで多用していたSMALLタグが、
IE上でだけ機能してくれなくなってしまったのでした。。><



同じソースによる文字サイズの比較表示キャプチャ。 左がIE、右がクロームです。



下段 F1~F3 : FONTタグによるサイズ指定 1 ~ 3
 size="1"の場合の差異がかなりあるものの、一応三段階に変化はしてくれてます。

上段 8 ~ 14 : SPANタグによるサイズ指定 8px ~ 14px
 このブログの記事部分の初期設定は 12px にしています。
 ところがIE8.0の場合、10px・11px・12pxがどれも全く同じに表示されてしまうため、
 SMALLタグの結果が差となって表れてくれないようです。
 また、クロームの場合、webkit-text-size-adjust で定義されない限り、
 デフォルトでは、10px以下のフォントサイズの文字は自動的に10pxに変更されてしまいます。

これまで私流のブログの書き方として、この部分は斜めに読み飛ばして頂いてもかまわない部分、
薀蓄評価感想などの補足的な文章は、SMALLタグ使って細かい文字にすることを多用してましたが。
読者の方々がご使用の多種多様なプラウザ全てに対して、
意図した通りに表示させることは非常に難しいということを悟りました。

試みに過去記事二つを手直しすべく挑戦してみて一応成功しているようですが・・・
それ以前の記事はクローム推奨ということでご勘弁下さい。^^;

ô

ファルクラム

自動車部品で言うところの「ファルクラム」とは何ぞや?
読み聞きして、これがどの部位のパーツの呼称なのか、ピンとくる整備士は非常に少ないのではないでしょうか。
画像検索すると、戦闘機の画像が大量に出てきます。 ミグ29の愛称もファルクラムみたいですね。(笑)


FULCRUM : てこの支点

クラッチフォークの中央部が嵌まる、トランスミッション側の突起部は、まさに梃子の支点になっており、このパーツの正式名称はファルクラムと呼ぶのだということを、下記のクラッチ系不具合で頭悩ますまで実は私も知りませんでした。
2000-02製 XZU307M 日野デュトロ
とある中古車業者さんがオークションで入手してきた車両の車検整備をご依頼下さったのですが、
クラッチペダル踏んだフィーリング、自動調整の油圧式にもかかわらず、すこぶる違和感ありまくり!
フロア近くまで深く踏み込むと、なんとかギヤチェンジは出来たので、自走可ではあったものの、
遊びやクラッチミートの感覚は、このままユーザーに引き渡せれる感じではありませんでした。



クラッチペダル/クラッチマスター/クラッチレリーズなどを順に診ていきましたが、特に異常なし。
となると残る可能性は?


上のイラストは日野デュトロ君のクラッチ構成パーツ。
クラッチフォークと、ファルクラム、ピンには、A型とB型の二種類がある・・・・・
これを見て確信しました。 きっと違うタイプの組み合わせになってしまってる?!
こうなる原因は、中古品/リビルト品トランスミッションに換装されたのではないかと推理しました。

自分の予想を信じ、気合一発ミッション脱着!
結果は見事的中で、ファルクラムだけが本来Aタイプであるところ、Bタイプがついていました。
      日野デュトロ用ファルクラム ( 別称:クラッチフォークレバーボール ) : 440円+消費税

これ・・・・ 厄介なのは、違うタイプ同士でも、何の問題もなく嵌まってしまうということ。
先入観もって比べてみて、少し座りが悪いかなと思う程度。 だから普通は気付かないでしょう。
しかし、てこの支点というのは超重要で、微妙な差異でも大きな変化として表れるのですね。



私自身この経験はとても勉強になりました。
知識を得た後、他の車両を見渡していたら、それまで見逃してた複数の類似例を解決できたからです。
ということは案外レアでもないような?


上の画像は、過去記事に何度か登場している117クーペ君のファルクラム新旧。
以前に、他社がストックしていた中古良品トランスミッションに載せ替えてもらったとのこと。

この例のクラッチは手動調整のワイヤー式であったのが幸いしたのか、操作感は普通でしたが、
やはりクラッチフォークの据わりが悪く、エンジン振動で踊ってしまってガチャガチャ異音が!
踊り止め対策として、鉛直方向に無理やり適当な長さのスプリングが追加されてました。
その状態のまま、私がクラッチオーバーホールを承るまでの間、長きに渡り目を瞑ることに・・・

向かって左が今回取り寄せた品。 ( 部品まだあったんですw 470円+消費税 )
頂部が平たくカットされていますが、これは「グリス溜まり」といって長期潤滑目的の工夫。
それを勘案に入れ、残りの湾曲面を比較すると・・・・・
これ、疑ってかかると僅かに違うように感じますが、ぱっと見絶対に判らないレベルだと思います。
ですが論より証拠で、右の現車の品には、面で当たるべきが線接触だったことを示す擦り傷が。
この例ではクラッチフォークとファルクラムをセット交換。 見事、正常な状態に復活しました♪



右の画像は、1996.01製 三菱キャンター FE507BT
36万キロ走行した後のファルクラム。

この相手側になるクラッチフォークには小穴が開いているのですが、ちょうど小穴の分を残して、直接擦り合わさる部分の摩耗がかなり進んでいます。

    FE507用ファルクラム : 380円+消費税

正規品であっても、このように摩耗している場合もまた交換が必要になってくると思います。

しかし作業の折り返し地点、トランスミッションが降りてから、
ファルクラムの摩耗に気付いたからといって部品注文するのでは後手ですねぇ。。
クラッチオーバーホールという作業は、せいぜい一泊二日が関の山。
普段、馬車馬のように走ってるからこその数十万キロ、それ以上はなかなか日数貰えません。
そういう哀しい理由で、見て見ぬふりで交換しないケースというのは決して少なくないでしょう。
それを未然に防ぐには?

ここで各種ファルクラムの部品価格にご注目! 僅か500円前後のパーツじゃないですか。
クラッチフォークのほうは若干値が張り数千円もしますが、出来ればセットで。
あと、蛇腹状のフォークブーツ、これも破れることが宿命なので、良くも悪くも3点同時交換。

見積に計上して提示しておき、入庫確定時点で予め取り寄せておいて吉だと思います。
勿論、低予算でとおっしゃる場合もなかにはあり、そうなると・・・・
酸いも甘いも知りつつも、結局あとで右往左往することになったりするかも。 ^^;

?o

HYBRID

     
来春からの消費税率引き上げを受け、相前後して4台の新車を受注。
たまたまでしょうか、うち2台がトヨタのハイブリッド、アクアとフィールダーだったので、
これはもう、これを機に新たにテーマ立ち上げて、色々書いていかねばと思いました。

ちょうど9月にホンダからフィットハイブリッドが発表されたので、商談の際にそれとなく水向けてみましたが。
「あ~出たねぇ~。。」で話は終わってしまい、試乗はおろか、カタログすら要りませんでした。
これは偶然2件の主決定権者が50代の方々だったことも関係するでしょうが、単にそれだけでもないような?
ハイブリッドシステムに限らず新機構・新装備というのは・・・ 市場に本格投入してから数次に渡る改良を受け、
その過程で成熟度が徐々に上がっていくもので、それには最低約十年の歳月を要すると私は考えています。
信頼性、耐久性、経年劣化の優劣などを思うとき、先行アドバンテージは相当大きいのではないでしょうか。
単に新品時点でのカタログ数値だけでは、中々人というのは踊らないとは思いますが、
猛追を可能としたホンダの技術力には賞賛を送ります。
各社切磋琢磨を経て、安くて良い品が生まれていくのですから♪



回生充電機能を備えた電動アシスト自転車
が既に市販されだしてますね。
自動車のプラグインハイブリッドと、着想や原理は全く同じなのでは?と、ふと思ったりしました.。
電動モーターというものは、電気の流し方を変えれば発電機にもなります。
安価に、そして効率良くそれらが両立出来る技術が確立されると、自然な流れとしてこうなります。
高度なハイブリッド車と、電動チャリを一緒に喩えるのは極論でしょうか?(笑)

電動化という一つの大きな潮流があります。
日進月歩技術は向上し、今では軽自動車にも回生ブレーキ機構が採用されだす時代に。
世間一般の認識も、ハイブリッド車をそう特別なクルマだとは考えてないように感じます。
走る曲がる止まるというクルマの基本部分で、一番最初に電化されたのは何でしょうね。
元々電気装置である点火系統・充電系統・始動系統を除くと、
機械式フューエルポンプあたりが一番に思い浮かびますが。 以降、カップリングファンが電動ファンになり、
キャブレターが電子制御となり、油圧式パワステが電動パワステに進化!
ハイブリッド車はその構造上、発電機やスターターモーターを個別に装備する必要がありません。
視点変えると・・・・・
発電機+スターター+ミッションを一つのコンポーネントとして電化したものがハイブリッドシステム?!
注 : ホンダさんのフィットハイブリッドには、敢えてスターターモーターが残されてます。
   こうすることで万一ハイブリッドシステムがダウンしてもエンジン始動可能という利点があるのですが。
   システムに対する自信の無さの表れだとか、複合小型化の開発が一歩遅れたのかと疑念を抱くことなく、
   単に設計思想の違いに過ぎないとだけ考えておきましょうか。^^;

点検整備するに当たっては、私はハイブリッドシステム一式を、
単なる新型トランスミッションだと・・・ 強引に頭の中で置き換えてます。
勿論ハイブリッド車特有のチェック項目は増えますが、こう考えて見渡すと、なんとシンプルなエンジンルーム♪
形骸化したクランクプーリーは残ったものの補機用のベルトは1本も掛かってない = ベルトメンテナンス不要
トヨタ製ハイブリッド車に使われているスパークプラグは、超長寿命20万キロ = 多分代替までプラグ交換不要
回生ブレーキを装備した車両の場合、ブレーキパッドが全くといっていいほど減らない = パッド交換ほぼ不要
燃費ばかりが取り沙汰されるHV車ですが、整備性が非常に優秀である事も大いに注目すべき点でありましょう。



ハイブリッド車運用上の注意点
販売側であるディーラー営業マンは、負のイメージを敢えて強調することは決してないでしょう。
だからこそ、全ての電気自動車・ハイブリッドカーユーザーにはこの項を一読しておいて欲しいと思います。
駆動用バッテリーは直流100~400V
最悪の条件重なれば僅か42Vでも死亡事故は起こり得るそうです。
これに対してEV・HV・PHV等に搭載されている駆動用バッテリーは、十分過ぎるほど高い電圧であるということ。
メーカー・車種により公称電圧は様々ですが、危険な電圧レベルという点では全く同列。
しかしですね、普段使っている家庭用の交流100V、怖くてコンセント抜き差しすら出来ない人は皆無でしょう?
電気自動車等の感電防止に関する安全性について。
衝突事故を起こした場合でも乗員が感電しない設計を採用し、高電圧系は丈夫なオレンジ色被覆で識別・保護。
これらは日本主導による国際統一規格化の流れを受け、道路運送車両の保安基準にも追加過程です。
このため特別な状況を除き、ハイブリッドカーだからといって神経質になる必要は全くありません。
エアバックが展開するような甚大な事故が起こった場合でも、衝突判定により自動で高電圧系は遮断されます。
万一水没した場合でも、車体に高電圧がかかる可能性はなく感電の心配もないと、メーカーは公言しています。

安全性には重々配慮して製造されたはずですが、駆動用バッテリーを搭載する全ての量産車種には、
その車種専用の 「レスキュー時の取り扱いマニュアル」 が公開されているのも事実です。
「メーカー名+レスキュー」で検索すると概ね上位HITすると思いますが、国産各社のリンクを貼っておきます。

トヨタ    日産    ホンダ    三菱    スバル    マツダ    スズキ    いすゞ    三菱ふそう     日野    

ずらり並ぶと壮観ですね。 購入検討中の方は、目指す車種のページが作ってあるかチェックしてみるのも面白いでしょう。既に所有しておられる方々には、ご自分の愛車のレスキューマニュアル、ぜひとも一度は目を通しておいて頂きたいです。これらは本来、救助用の油圧式カッター等を使う人々のために作成された資料ですが、
使用者の視点で読み解いて欲しいポイントは・・・・・
無音状態でも動き出す! → システム停止状態への速やかな移行が必須
次世代自動車は、音の有無でシステム起動・停止状態の判断が出来ません。
有事の際には、まだ可動であるなら安全な場所を確保してから、既に不動であるのなら全てに優先して第一に、
メーター表示灯を目で確認しながら適切な対処を試みて下さい。
絶縁グローブを常備しておきサービスプラグを引き抜く事までは一般ユーザーに求めません。
プッシュスタート式の場合は特に注意が必要で、パニック状態になって無闇にボタン連打するのは厳禁!
レスキューマニュアルには、認証キーは車両から5・6m以上離せと必ず記載されています。
これはシステム停止後、意図せずスタートボタンに触れてしまう可能性を考えての予防処置でしょう。
裏を返せば、事故直後まだ車内に認証キーがあるうちは、一旦システム停止状態へ移行したあと、
不用意にスタートボタンに触れてはいけないことを意味します。
高電圧系レイアウトの把握
日常生活におけるごく普通の使用の中で、脱輪・乗り上げ・コインパーキングのフラップに引っ掛ける等々、
下回りの軽微な損傷事例というのをちらりほらりと散見します。 皆目起こり得ないことではないですよね~。
だから 「駆動用バッテリーの搭載位置+高電圧ケーブルの敷設経路」 くらいは大雑把でよいので把握して下さい。
レスキューマニュアルには必ず判りやすいイラストがありますから理解の一助となるでしょう。
万一、フロアパネル下を這うオレンジ被覆が損傷した可能性があれば? 怖いですよね? 危険ですよね?
この項を読んで下さった方々は、下回りの危なそうな場所をゴリゴリやってしまったら、
決して知らぬ顔でそのまま乗り続けることなく、何か行動起こして下さると信じます。^^
救援用端子を使って他車を救援不可
次にクルマの取扱書をパラパラめくって覚えておいて頂きたいポイントを幾つか挙げておきましょう。
「補機バッテリーが上がった時」の項に、このことが注意書きとして記載されています。(トヨタ製ハイブリッド車)
うっかり他車を救援してしまうとハイブリッドシステムが壊れてしまう可能性があるので絶対やめましょう。
重要なポイントなので、先日立ち会った新車納入の際の取り扱い説明で、トヨタ担当セールスも触れていました。
救援するための裏技はあります。
ある特定のアクセル操作で整備モード=エンジン強制始動しつつ、補機バッテリーから直接給電してやる作戦。
しかしこの方法でも、ブースターケーブル繋いだまま被救援車のセル回すとHVシステムが壊れる危険あり!
なのでこの回避策として、最低数十分以上なるべく時間かけ被救援車の上がったバッテリーを充電し、
ブースターケーブルを外してから始動トライする必要が。
あまりにもリスク高いので、よほど習熟した人でなければお勧めしかねます。
また、フィットハイブリッドの取扱書には、他車救援不可とはどこにも明記されていませんが、
ホンダディーラーに救援可否の問い合わせをしてみたところ、上記の機微がやはりあるのでしょう。
賢い応対者ならば易々と、大丈夫ですよとは太鼓判押してくれないと思います。
「ハイブリッド車で救援しない/ハイブリッド車に救援頼まない」 としておくのが無難なのかも知れません。^^:
駆動用バッテリー冷却用吸入口の把握
乗用車タイプで後席のどこかに駆動用バッテリーの冷却用吸入口がある車種は注意が必要です。
うっかり知らずにこの吸入口を塞いでしまうと、駆動用バッテリーの過熱や出力低下の原因になります。
ですのでHV車のドライバーは、この点に関して後席搭乗者の行動にそれとなく気を配る必要もありますでしょう。
駆動用バッテリーの種類
どのような種類のバッテリーが搭載されているか知らぬ存ぜぬというのはちょっとどうかと思います。
何故ならば、種類ごとに違う「欠点・弱点」を把握して運用するのが望ましいと考えるからです。
2013年現在、ハイブリッド車に使われる駆動用バッテリーの種類について少し触れておきましょう。
電解液の性状
安全性を重視すると、破損時の対策として「電解液を不織布に染み込ませた」タイプであるべきだと考えます。
強アルカリ性の電解液は非常に恐ろしく、有事の際には中和剤(飽和ほう酸水20L)が要るほどです。
不織布浸透型を採用するメーカーは、もっと大々的にこの点をアピールしても良いと思うのですが、
レスキューマニュアルの中にひっそり記述されているのみの場合が多いようです。
ぜひこの記述を探してみて下さい。
ニッケル水素
自己放電してしまうことが難。 このため2~3ヶ月に1度はシステム起動して、駆動用バッテリーの充電が必要。
コスト、重量、メモリー効果、低温特性、大電流放電・・・
どれも中庸的な性格ながら、総合成績良好とのことで採用される例多し。
安全面最重視で見渡すと、「ニッケル水素+電解液不織布浸透型」であることが鉄板か。
リチウムイオン
極めて高い精度で制御する必要があり、最悪の場合、発火爆発の可能性を秘めているのが痛恨。
振動や熱的環境の厳しい航空機や自動車での利用では、小型家電とは別次元の耐久性が求められますが、
取扱書の中に、「夏場は日陰への駐車をお勧めします」などとさらっと書かれてあったりします。 恐ろしやw
ボーイング787での出火事故は記憶に新しいですね。。。
真の問題点は、バッテリー単体が新品/良品でも、バッテリー制御系が悪さをすれば燃えてしまうということ。
このためバッテリー制御系の信頼性維持が必須なのですが、予防整備されないケースが多い自動車では、
車歴7年~10年~15年と経るうちに、必ず問題顕在化してくると予想します。
その他、「大電流放電に適さない」、「低温特性が劣る」、「コスト高」などの減点要素はあるものの、
重量、自己放電、メモリー効果などの主要性能面ではニッケル水素を遥かに凌駕。
軽量化=新車カタログ数値で競らねばならない市場要求のため、
メーカーの舵きりは、リチウムイオン搭載につい流れがちな中、誰かが警鐘鳴らしてもよいと思われませんか?
せめて、ここらの事情に鋭敏な中古車市場が反応し、そう遠くない将来、
低年式のリチウムイオン搭載次世代自動車が、超リーズナブルな価格で入手可能になって欲しいものです。
そういったクルマに手出しすべきかどうかは全く別の話ですが・・・ ^^;



知らぬと意外なのは、HV車の場合、クーラーよりもヒーター使う方が燃費が落ちるということ。
ですので日本国内といっても、ストップアンドゴーが極端に少ない厳冬期の北海道非都市部では、
高年式の優秀なガソリン車のほうが、ハイブリッド車の実用燃費を上回ってしまうそうです。
上述のような特別な例を除き、HV車は日本の道路環境に非常に合っていると確信しています。
論より証拠。 街中で、プリウスのタクシー見かけることが当たり前のようになりましたよね。^^

ô

トランスアクスル 逝く

変速機のことをトランスミッションといいますが、差動装置(デフギヤ)一体型の変速機はトランスアクスルと呼びます。
どちらの場合も十把一絡げにして通称は、マニュアル車なら単に「ミッション」、オートマ車なら「オートマ」でしょう。
何れにしてもこれら変速機の故障というのは、エンジン本体の不具合や、クーラーガス漏れトラブルなどと肩を並べて、
代替/修理をかなり迷ってしまう事案の一つ。 そこを乗り越え実際に修理着手するのは極々少数になると思います。


上の画像は、昭和62年製 いすゞ アスカ JJ120 のトランスアクスル。
そうです、前回記事と同じ車両のものです。 クーラー修理の翌年以降、事あるたびにご来店くださり、
H 20.3~22.12 までの間の主な整備履歴を列記すると、2度の車検整備、EXパイプ交換、スターターモーター交換、
製造廃止の左電動ミラー内部修理、リヤハブベアリング交換、数次に渡るフロント足回り異音修理・・・
気合入りまくりでまだまだ乗り続けるぞ!とおっしゃってました。

H 23.4 、ドライブシャフトブーツ交換+ミッションオイル交換+12ヶ月点検整備をして納車直後、
高速道路を西へ走行中に突然のミッショントラブル!?
場所は、京都から170キロは離れているであろう、中国道の美作追分PA手前だったそうです。
症状は、何の前触れも無く突然4-5速が往き来出来なくなったとのことで、すかさずパーキングエリアへ。。
まずご相談の電話を下さり、R・1234速はなんとか入り、自走も可とのことだったのですが、
場所が場所だっただけに大事をとって、積車手配で京都まで搬送ということになりました。

点検整備後、約1週間くらいしか経ってないというまんの悪さ。
しかもミッションから突き出たドライブシャフトを半脱着してますし・・・ 、ミッションオイルも替えてます・・・ 。
これじゃ誰しも、「何かチョンボした?!」って思われますよねww



症状 : 5速のみギヤチェンジ不能
ミッション本体以外の部分で可能性ある箇所というと、シフトレバー関係でしょうか。
積車搬入後、先ずそこらへんを点検してみましたが、残念ながら異常なし。。
シフトケーブル取り外しエンジン停止した状態で、直接ミッション本体部のレバーをこじてみましたが、
やっぱり5速ギヤに入りませんでした。  この時点で、ミッション内部不良の確定フラグが。 T_T

 余談になりますが、遥か昔に苦い出来事がありまして。 車検整備の一月半後にオルタネータ ( 発電機 ) が突然死。
 運の悪いことに、晩秋の冷たい雨降る夜の高速道路上での不具合、エンジンかけれぬまま立ち往生されたそうで。
 事情を聞いて即対応 ~ オルタネータとバッテリーを交換してクルマは元通りに直ったものの。。
 その長年のお得意様曰く、「車検直後に壊れるのは変だ!」、「息子は風邪を引いた!」、「整備代は払えない!」と
 感情的になってしまわれ・・・ ご説明重ねて奥さまから整備代を頂戴したのですが、以後ご縁は切れてしまいました。

 人の造ったものは必ずいつか壊れます。 点検時点で良判定でも、僅かな間を置き不良になることもままあります。
 じゃぁ点検整備なんか無駄ではないかと言われそうなんですがね。  診て触って聴いてみて、
 既に兆候表れている箇所をいかに多く見つけれるか。 それが我々整備士の仕事だと考えています。



ミッション内部不良と判明し、先ずお客様と以後の方針についてご相談をしました。
ご要望は単純明快! 「なんとか直して下さい!」 というものでしたが、と同時に・・・・・
「どこが壊れたんやろ~。直るかなぁ・・・T_T」 ともおっしゃっておられました。
心配されるのもご尤も。 決して易しからぬ事案で、最善尽くしますとしか言いようがありませんでした。
FR用の、例えばハイエースやタウンエースなど、超メジャー車種の縦置きトランスミッションならば、構造も割とシンプルで
リビルト品/中古良品どちらも玉数豊富。 修理といっても、単に載せ替えれば済む話なのですが。
それに対して、FF用の横置きトランスアクスルは差動装置も加わった上に凝縮され少し複雑。
ましてや稀少車種のアスカともなれば、載せ替えるべき代わりの品が見つかるかなという不安がありました。

案の定その心配は的中!
まず全国NETのリサイクル網で中古部品を当たってみましたが、当然のように在庫なしとの回答。
次に懇意の部品商経由で探して貰いましたが、リビルト在庫はどこも無し。 現品リビルト化も引き受け手皆無。
範囲広げてもうちょっと調べて下さいと食い下がってみましたが、日が過ぎただけで、やはり見つかりませんという返事。
それとは並行して、自分でも、京都大阪に数多く点在するリビルト業者に片っ端から連絡とってみました。
当時整備振興会の理事をしていた父の顔で、懇意の業者仲間の伝手や情報もお借りしました。
およそ半月の時間費やし出揃った結論は、何れも処置なしというものでした。 オーマイガッ。。

ここで白旗振るべきか、それとも玉砕覚悟で尚奮戦するか・・・
コスト的に、リビルト品/中古良品と交換出来る場合と、そうでない場合とでは、次元の違う話になってしまう恐れが。
更にトライするだけしてみるも、やはり頓挫し傷口広げただけという最悪のシナリオも想定しておかねばなりません。
お客様とこの点を協議する必要を感じ、再びご相談したのでありました。
この選択肢、他人事として聞くのではなく、実際自分の身の上に降り掛かり、自ら決定すると思って考えてみて下さい。
貴方ならどうされますか?

トランスアクスル内部の、主要構成パーツ単体の供給可否を調べてみました。
1~5速の各ギヤ・シンクロ、それにベアリングなど諸々の部品達は、受注生産納期不明(約2ヶ月?)とかをも含めると、
平成23年4月時点での回答は、概ね9割方はいすゞさんから入手可能。
約1割のパーツについては既に製造廃止で調達不可。
内部の破損状況がどういったものであるのかは、当然この段階では不明でした。
割れるなり欠けるなりした不具合部位が、メーカーから出れば幸いなのですが。。
万一製廃パーツとかぶって特注ワンオフとかいう話になれば、僅か1個の専用ギヤ造るのだけで数十万円?!
修理総額も一気に跳ね上がってしまうので目も当てられません。。
名誉ある撤退を選ばれても決して責められることはないと思います。 世の大半の人の答えはそうでしょう。
しかしですね、なんとこのケースでの相談結論は、突撃ラッパ! トテチテター!! 逝ってよし。 おぉ~ というものでした!



というわけで、車両からトランスアクスルASSYを降ろし、捲っても差し支えのない一番上のカバーだけ取り外して
内部の状況(欠片や粉砕粉の有無)を観察してみたのが、最初の画像の場景です。
当然のこと何らかの破片が見つかるものと踏んでたのですが、予想に反して内部状況はすこぶる綺麗なものでした。
これは・・・・・ 想定外の意表を突いたようなトラブル?! 逆にヤバイな、梃子摺るなと直感!

ここから先の分解修理は、ミッションオーバーホールを数多くこなし相当習熟したベテランに頼むのが転ばぬ先の杖。
ですが逆の立場で考えるとですね、ちゃんと直るかも分からない手間暇かかりそうな、言わばジョーカー。
縁もゆかりもない赤の他人のために一肌脱いでくれる男気ある方は、関西圏では見つかりませんでした。。 哀しい。
ですが悲嘆に暮れていても始まらないので、覚悟を決めて全国津々浦々引き受け手求めて探しまくりました!

探すポイントは、外注に出さず自社内でクロスミッション化とかをも手がけておられるような工場?
その他色んなキーワードで検索し自分の臭覚だけを頼りに、そこそこ見込みありそうな問い合わせ先リストを作成。 
あとはひたすらリストの順に直接電話しまくって経緯・状況を伝えてみるという根気の要る作業。
結果答えはNOのとこばかりな中、遂に了承してくれる先が見つかったのでありました。

神奈川県 株式会社小山ガレージ 様
レース用車両の製作メンテナンス、エンジン制御系製作、車両改造チューニング各種計測から、
エンジン・ミッション・デフなどのオーバーホール、その他多種多様な業務内容であられます。
横浜で毎年開催されている自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展」にいつも出展されておられるご様子で、
その一点だけをとってもただならぬ会社であることは容易に想像がつきます!

依頼の連絡をしたのが4月であったことも幸運だったでしょうか。
1~3月は新車登録台数の関係で、だいたいどこの自動車工場も繁忙期。
その反動で一転、4月は割と余力あることが多いですからね。
かくして不具合起こしたミッション単体は、木箱に入れられ神奈川の地へ。




オーバーホール中の風景を十数枚頂戴いたしました。 トランスアクスルの中身はこんな感じ。

この段階で全てのギヤ類の外観を俯瞰できるわけですが、やはり内部状況はすこぶる綺麗なもので、
割れなし。 欠けなし。 曲がりなし。 特に大きな摩耗もなし・・・・・ しかし実際、5速だけに入らない?!

この後、頂いた画像は、シャフトから各ギヤ抜いてバラバラにして仔細に調べてみた様子が続くのですが、
まるで間違い探しと一緒で、容易には不具合箇所が見つからない=何度か仮組みし直しては、また分解ということを
繰り返されたのではと想像します。 本当に厄介な仕事を引き受けて下さり大感謝!


では一体何がどのように壊れていたのか? 種明かしは下記の通りです。

   

5速アウトプットギヤ圧入抜け
向かいのギヤに噛みあう部分と、シンクロ機構が噛みあう部分という、異なる形状の切削加工品が合わさって
一つのパーツになっているのですが。 固く圧入され本来外れるはずのない箇所が、若干抜けかけていたのです!
新品パーツ 30.5mm 、不具合パーツ 32.0mm
約1.5mmも抜けており、これではシンクロが常に押されて邪魔する結果、5速にだけ入らないという症状呈した訳でした。
では何故唐突にこのようなことになったのか?!

注目すべきは右上の画像、
不具合起こしたギヤは左側で、内面にセレーション嵌合のギザギザ見えるのが分かりますでしょうか。
これに対して右側の新品ギヤは、手間を惜しまずその部分にしっかり溶接が施されていました。

明らかに圧入抜けトラブルの対策品。 裏を返せば、メーカーさんは全国のどこかで起こった同一症例を感知した?
ふと閃いてこのアスカ君の車体番号に注目すると、下5桁の数字は100未満=極初期車両でありました。
メーカーさんは新型車を発表後も、日進月歩、日々精進しておられるという典型事例なのかも知れません。



万難乗り越え無事納車!
あとからカレンダー見て数えると、リフト占有期間43日・・・
不動になってからだと約2ヶ月もの長きに渡りご不便かけてしまったのですが。。
何はともあれ、この記事を書き上げた今日までの約2年半、ミッション系統は何もご不満ないとのこと。
これくらいのロングスパンで結果を出せれば、この修理は成功だったと言えるのではないでしょうか♪


余談:
2013年秋、つい先月のことなのですが。
点火系統のイグナイターという電子パーツが突然死してエンジンストップ。 またもや積車搬入という憂き目に。。
スパークプラグに火花が飛んでなかったので、比較的簡単に原因特定は出来たのですが、
アスカのターボエンジン専用にノッキング制御付きで回路設計されたという、ディストリビュータ内蔵型イグナイター。
こんな唯我独尊的なパーツであるのに、問い合わせてみると既に製造廃止! 新品パーツは調達不能!!
またもや非常に興味深い記事になりそうな辛酸舐めましたが、これも無事解決♪

昭和後期のクルマでも、既に車歴は約30年近くになるのですね。
だんだんと製廃喰らいだすと何をするにも辛すぎるのですが・・・・・ そういう修理を承る時の心得としては、
視点変え、探究心で逆に楽しめるくらいでちょうどなのかもと思っています。
何はともあれ、このアスカ君はまだまだ現役快走中! もうどこも壊れませんよ! うんうん、そのはず!ww

ô

加重厳禁

 

 上の画像は、昭和62年製 いすゞ アスカ JJ120 のエンジンルーム左奥。

 各都道府県に1台くらい、日本全国だとおよそ50台程度?がまだ元気に走ってるとの話です。
 117クーペではなく、まっことレアなアスカで頑張る!
 骨太なオーナー様でなければ出来ない業でありましょう。。

 実は、今を去る約6年前。 平成19年6月にこのブログをご覧下さりご来店。
 全く効かなくなっていたクーラー修理を承ったのがご縁の始まりでした。
 旧フロンR12のクーラーシステム、主要構成パーツ全滅判定・・・・・
 幸い新旧どちらのフロンにも使えるというコンプレッサーが見つかったので、えいやとばかりにレトロフィット。
 但し室内ユニット側エバポレーターは製造廃止のためワンオフせねばならず、あれやこれやと超大変で、
 詳細書き出すと、それだけで連載ものの記事になってしまいそう。(笑)

 ここでは写真左上に見える、「加重厳禁」のコーションラベル についてだけ軽く触れておきましょう。
 後にも先にもこんなことをしたのはこの一例限りです。

 このクルマのクーラー低圧配管は、「手摺代わりにどーぞー握って下さいな~」と誘ってるんです。
 エンジンルーム内に上体かがめてで何かの整備をする際、ちょうど良い案配で横に渡っていて、正に魅惑の手摺?!爆
 しかし絶対に誘惑に負けて握ってしまってはいけないのですよ。。
 というのもこの配管の先は、室内ユニット=アルミ製クーラーエバポレーターにダイレクトに繋がっていて、
 配管に荷重加えると全ては脆弱なエバポの負荷となります。多分一回体重かけただけで歪んでガス漏れ起こすかも。
 普通はそうならないよう、荷重・振動防止用のステー類で保護されてしかるべきなんですが、このクルマにはそれが無し。
 こりゃいかんなと認識しつつも、配管レイアウトの関係で、保護ステーを追加しようがないようでした。
 メーカーさんもこの問題に呻吟しつつ、結局おざなりスルーしちゃったんでしょう。。ww

 とはいうものの、他の整備工場やガソリンスタンド等でボンネット開くシーンもあるでしょう。
 苦心惨憺して折角修理したクーラーが、誰か一人のたった一押しでふいにされるのも業腹!
 私の不安が的中してしまわぬよう、注意喚起すべく表示したという次第です。
 発想・方向性は悪くなかったと思うんですが、元々無かったものを造りだすというのは産みの苦しみがありますね。
 先ず文言。 「ここに体重をかけないで下さい」とかいう文章表現よりも、私は箇条書きのほうが好みのようです。
 つまり、「何々禁止・厳禁」となるのでしょうが、荷重禁止?加重禁止? 日本語って本当に難しい!w
 次に作製方法と素材の選択。 赤マジックでさらさらっと何かに手書きするのはいかがですか?(爆)
 旧車に限らず大事にされておられるクルマにそれでは、ちょっとどうかと思ってしまいます。
 生憎私は人を唸らせるほどの達筆ではありませんので、適当な大きさの文字を模索しつつ幾つか印刷。
 しかる後にラミネーターで保護し、穴を6個あけてタイラップで留めました。 所用時間は内緒ですwww



 こういう小技は、それをしたからといってその分の御請求は出来ないですね。
 趣味ではなく商売として請け負う場合、非常に難しいものがあると思います。
 実際この私も最初は口頭で注意するだけにとどめたのですが、次に別件エンジン不調で入庫してきた時に
 お願いした通りの警告表示が為されてなかったので、やむにやまれず・・・

 しかし6年経って振り返ると、ここまでやってあげて本当に良かったと思います。
 コーションラベルが功を奏したか、丸々5年余り、クーラーはよく効いていたようですし。
 そしてその間の整備履歴を数えると、細々した小修理やトラブル対応・車検・点検が21回?!
 途中トランスアクスルが壊れたときには廃車かもというピンチもあったんですが。
 それやこれやを無事乗り越えるべく、共に歩んだ形でしょうか。
 今は亡き愛犬クーが元気だった頃は、ご来店の度によしよしと頭撫でたりして下さる大切なお得意さまの一人に。^^

ô

愛犬、天に召される

© 2011 Google

上の画像は2011年現在、自宅兼社屋の住所で表示されるストリートビューからのワンカット。
他のカットで見える入庫中の青いシボレークルーズは、どうやらコーティング作業中のように見えるところから
Google撮影車が実際に我家の前を通ったのは、2010年2月4日~2月5日頃と推定。

人物やナンバープレートには必ずボカシが入りますが、幸いペットにまでは及ばないようで、手もかじかむ真冬、
寒いはずの玄関先に顔だしてた愛犬クーの姿が綺麗に写りこんだのは、まさに奇遇だったと思います。


2011.11.20 AM3 、愛犬クー夭逝。
享年8 ( 満7歳10ヶ月 )、日曜日未明の出来事でした。

実はこの春、定期健診で肝機能低下を示す数値が出たため、それに応じた処方が出たのですが。
ドッグフードに単に混ぜると上手によけて残すので、対策として錠剤を細かく砕いても、良薬口に苦しというやつなのか、
彼女はそれを食事に混ぜられるのをひどく嫌がり、「よし!」と声かけても食べよか食べまいか躊躇。
何度も掛声かけてやっと仕方なく食べはしましたが、いかにして嫌いな薬の味から逃れるか、
彼女なりに一生懸命考える日々が続きました。

それがきっかけになったのかは分かりませんが、その頃から物事を考える力がすごくつきましたね。
仕事柄、人の出入りが多いのですが、ちゃんと犬の苦手そうな人を見分けて指定席から動かなかったり。
元々吠えない子だったのですが、散歩の時以外はリードに繋ぐ必要が全く無くなりました。
アイリッシュセッターは、長じると実に大人しい家犬になるとは聞いていましたが、それにしてもお利巧でした。

写真にある玄関段上でスフィンクスのように伏せをして、初夏の風に優雅に毛をなびかせていた姿が懐かしいです。
思い合わせると、この頃から少しずつ病魔が身体を蝕みはじめていたのでしょうね。
夏の終り頃、「最近元気あらへんなぁ」と言われだし、再検査するも特に異常は見つからぬまま日だけが過ぎていきました。

10月末日、初嘔吐。
数日その症状が続いたために動物病院を替えて検査し直してもらうと、推定リンパ腫?
病理には出さなかったのですが、6cmほどの腫瘍らしき影などが多数見つかり、対症療法・末期ケアということに。。
初診では年を越せるかどうかというお話だったものの、食べて飲んでという基本に支障きたすと脆いものなのですね。
半月ほどの間に病状はどんどん進行していったのでありました。

忘れ得ないのは他界する前々日、輸液(点滴)してもらった後の出来事。

通院往路、抱きかかえねばならなかったのが嘘のように、帰路は車にピョンと飛び乗れ元気な様子だったので、
家に着いてから「散歩行くか?」と問うと「行く行く!」との意思表示。
時刻はPM8時頃だったでしょうか。 お日様もとっくに暮れていたのですが、迷うことなく即出発。
玄関~近所の公園~玄関の全行程、多分これが最後かもという想いが両者にひしひしあったのだと思います。
この時、初めてずっとリード無しでの外歩きになりました。
体重27kgはある中型犬。 元気な頃は手が痛くなるほどぐいぐい引っ張って先に行こうとしていた子が、
私の左足あたりに鼻先並べ、歩調ずっと合せて歩いてくれました。

そして再び玄関口へ。
道路と屋内を隔てている僅かな高さの一段上がれば、それで散歩が終るのを知ってか知らずか動こうとせず。
かといって、まだ散歩し足りないという感じでもなく。。アイコンタクト数秒。。 そして察することが出来ました。
こういうシーンでは、たとえ人同士でも言葉不要だったかも知れません。
私は一歩下がって玄関口に腰かけて煙草に火をつけ、静かに見守る姿勢をとりました。
それから時間にしておおよそ15分~30分くらいだったでしょうか。
その間愛犬は、直立不動で首筋伸ばし、ずっとただ一点を見ているようでした。
それは2ブロック先に小さく見える信号機?
犬には色の判別は出来ないそうですが、青から赤へ何度も何度も変わるのを飽きもせずずっと見つめるその姿、
まるで慣れ親しんだ景色に今生の別れを告げるべく敬礼しているかのように感じられました。
いいえ、正にその通りだったのでしょう。
「登舷礼」という言葉があります。 出航する軍艦の舷側で姿勢を正す白ラン姿・・・
映画の中のワンシーンであるかのようなその姿は、私の脳裏に深く刻まれたのでした。

元々迷い込んできたワンコですが、しかし、だからこそ一緒に過ごした 7年余りの年月は、まるで天からの授かり物だったように思え、そのことを何とか形にして残したいと考えました。

場所は勿論玄関口。
実質的には墓標なのですが、あからさまにはそうとせず。
一見建物の定礎のような素材・様式を選び、ただ淡々とした英字の碑文を刻んで貰ったのでした。 今では脇に植木鉢が置かれ、花に囲まれた中、ひっそりと往時を偲んでいます。  完


ô

旭日双光章


The Order of the Rising Sun, Gold and Silver Rays

 平成22年 春の叙勲にて、旭日双光章を受章



鍼灸医だった故祖父が、1978~1983、明治鍼灸大学の認可から開学に尽力した功等で受章以来、
観光としてではなく皇居に参内するなどとは、我一族二人目になる慶事であります!

拙父は、京都府自動車整備振興会副会長として長年うんぬんということでの拝領。
国交省と組織力の賜物でありましょう。 ですが喜ばしいことにかわりはありません。
わたくしは、それを引き継ぐ長男として、微力ながらも同じく自動車業界に寄与出来ればと思います。

♪